前回は、「楠見晴重先生から、天満の地下水を復活させる可能性が示唆された」お話をしました。
楠見先生は地下水のエキスパートで、京都の地下に豊富な水が溜まっている様子(京都水盆というそうです)を3次元的にCGであらわすことに成功しています。さらには、この京都水盆の水量は約211 億トンであり、なんと琵琶湖に匹敵する(!)量であることも明らかにしました。こうした楠見先生の研究成果をうけて、関西大学と伏見酒造組合は、地下水の利用と観光保全についての研究で連携協定を結んでいます。
楠見先生と天満の地下水の話をする数か月前、語り手は楠見先生の講演会でこの話を聞いていました。しかし、天満の地下水の復活に、楠見先生のお知恵を拝借しようという発想はまったくなかったのです。まったくいつでもどこでも迂闊です。
そして、町街塾(こちらは、「『天満天神の水の物語の始まり』の始まり」をご参照ください)で楠見先生とご一緒し、大学に戻る学長車に乗せていただかなければ、この発想はずっとないままだったのです。
こうした偶然から「天満天神の水の物語」は始まりました。いつも「偶然」から始まるその物語が紡がれていくには「前をみては、後えを見ては、物欲しと、あこがるる」人々の集まりが要るようです。
そうして、天満天神の水の復活は、多くの人々の思いとなっていきます。